誰も知らない
ドライバーは皆んな孤独な存在 「腹の立つ無能ドライバー10傑」というネタを取り上げ、事例1について考えました。事例2については、既に連載を通じて取り上げた高速道路の内容なので割愛します。今回は、事例3「優先道路に出るのを待っている時に、渋滞の列を詰めて来て絶対に入れない奴」について。まずは具体的な状況について想定してみます。前回の続きですから、想定7からです。 想定7)交差点で右折待ちをしている時に、対向する交通の流れが渋滞のためにストップ。本来であれば交差点に入らず停止すべきですが、交差点内に進入してきて対向右折車を妨げる状態で停車。挙げ句の果てには信号が変わってしまい、対向右折車のみならず交差する交通の流れまで止めてしまう。 想定8)2車線以上の道路が渋滞している際に進路変更しようとするクルマを絶対に入れようとしない。渋滞の場合は流れのいい車線に移るための進路変更が多いため、意味のない優先意識が働くと思われますが、右左折や障害物回避のために進路変更が不可欠な状況もあります。 想定9)優先道路に対して路地や駐車場から合流する際に、優先道路の流れが信号や渋滞で止まっているにも関わらず合流車両の進路を塞いで停止する。 想定10)片側1車線の比較的狭い道路に駐車車両が止まっていて、対向する交通のどちらかが停止しなければすれ違う事が出来ない場合に、自らが決して止まろうとは考えないドライバーの存在。 他にも多々ありますが、事例3の類似具体例として上記のような状況が想定されます。やや体験的な偏見もありますが、想定7〜10のような状況を引き起こすドライバーの多くは立場が逆になると強引な割り込みをしたり、または進路を譲られた際に社交的挨拶や感謝の意志表示をしない方が多いように思われます。 ドライバーそれぞれの人格だから仕方ないのですが、そこにはドライバーの孤独が存在し、また治安的な危険が潜んでいるとも考えられます。クラクション殺人のような極端な事例、路上での競り合いや喧嘩などは日常的に起こり得るのです。交通事故ではありませんが、どこにでも存在するアウトローに対し、良識あるドライバーは自衛手段を考える必要があります。 | |
自らを守るは冷静な行動と判断 そして優しさ(事例3) 恥ずかしながら私自身も道路上で2度ほど喧嘩してしまった経験があります。ただし私の交通事故歴の中で書いた18歳の事故以来、シートベルトの装着と路上での譲り合いには敏感になり、かなり安全意識の高い運転をしてきたつもりですから、理由は事例3のような事ではありません。 1度目は火のついたタバコを窓からポイ捨てして、たまたま私の愛車のボンネットに命中させてしまったタクシードライバーと路上30分の格闘。 2度目は私のクルマに当て逃げしたドライバーが居直って「オマエが割り込んだからだ」と因縁を付けてきたため激怒してしまいました。 いずれも流血沙汰に至りましたが、警察署の始末書で事なきを得ました。自画自賛ながら温和で寛容な私でさえも、路上ではじめて出会い、しかも特殊な状況下で関わった相手だからこそ起こった事です。もし相手が旧知の人であったり、良識ある人であったなら、話し合いで充分解決できたでしょう。 社会的地位も年令も性格も犯歴も全く知らない相手だからこそ、自らの立場や利益を守るための争いが発生し、時には痛い代償を払うことにもなるのです。そういう点で一人のドライバーとしてハンドルを握っている中での交通社会は、一般社会とは全く違う特別な世界である事を理解しておく必要があります。 ハンドルを握って、ひとりで走り出してしまえば、そこには誰も知り合いのいない孤独な世界が待っているのです。同じ人間だから、運転免許証を持っているのだから、クルマに乗るだけの能力は備えているのだから・・・残念ながら何も根拠はありません。 ルームミラーを見て、迫ってきた後続車が必ず停車してくれるでしょうか? 右折待ちしている対向車が自車の通過まで必ず待っているでしょうか? 赤信号だからといって全てのクルマが必ず停止するでしょうか?・・・ これでは恐ろしくて運転など出来ないでしょう。だから交通法規があり、罰則がある訳ですが、ドライバー全員が守る保証は何処にもありません。最終的には自分を信じて行動するか、自分の周辺を走っている全てのドライバーが善人であり安全上適確な運転能力を持つことを祈るしかないのが実情です。 さて本題ですが、事例3についてはドライバー個々が譲り合いの意識を持つこと、正しい状況判断能力を身に付けることで解決します。しかしドライバー全てにそれを求める事は残念ながら不可能です。せめて交通社会の中で孤独にならないように、また自らの防衛手段として他のドライバーとコミュニケーションをとるよう心がける事をお勧めします。 譲ってもらった場合に、それがきわめて常識的行動であっても感謝の気持ちを表した方がいいと思います。手を上げる、会釈をする、ハザードを2回点滅させるなど。それだけの行為でも、ドライバー同志の信頼の絆ができ、一時的であるにせよ孤独でなくなるのだと思います。あなたも一度くらい安堵した経験があるでしょう。 |
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