迷惑だけでは済まされない無神経




こんな時に何が想定されるのか

 ドライビングテクニック中心のネタで連載している「ドライビングテクニック皆伝」というのがあります。これに書いた「腹の立つ無能ドライバー10傑」というネタです。

事例1)坂道の頂上付近やカーブ等の対向車が確認出来ない場所に平気で駐停車する奴

事例2)高速道路の追い越し車線を100km/h未満で走り続ける奴

事例3)優先道路に出るのを待っている時に、渋滞の列を詰めて来て絶対に入れない奴

事例4)止まれ標識がない交差点でも安全確認で止まった前を、止まれ標識無視で通過する奴

事例5)高速道路の本線合流で加速したあとにブレーキかけて本線合流できない奴

事例6)駐車違反で通過車両の妨げをしているのに、堂々とドアを開けて荷物を降ろす奴

事例7)歩行者の多い裏道を飛ばして、意地でも幹線道路よりも目的地に早く着こうする奴

事例8)料金所でずっと並んでいるのに、お金を払う直前に財布を捜し出す奴

事例9)右折禁止の交差点で、停止するまでウィンカーを出さずに交通の流れを止める奴

事例10)見通しのきかない道幅の狭いカーブで、キープレフトが出来ないのに減速しない奴


「ドラテク皆伝」はテクニック中心の連載ですから単なるネタとして簡単に扱っているのですが、こちらの連載では、事故を避けて通るための知恵として細かく扱ってゆきます。
 この連載を読んでいただいている読者のみなさんの多くは、交通事故を避ける事を少なからず自発的に意識している方々と思いますから、説明の必要は無いのかもしれませんが、念のために説明を加筆しておきましょう。



原則は知る者が知らぬを助く
(事例1)


 納得のいかない事が多いですね。事例1〜10のような行為を繰り返すドライバーは、きわめて社会性に乏しい人なのか、クルマを運転するために必要な経験や知識を身に付けていない方と言わざるを得ません。事例1から何度かに分けて説明してゆきます。

考察1)その場所が駐車場の出入口であったり、特殊な事情があり一時的な停車が必要なら仕方ありませんが、多くの場合はその場の交通状況を全く無視しているか、全く気付いていないか、身勝手な都合でしょう。何のためらいもなく、そんなクルマを避けて通り抜けるドライバーはバクチ打ちです。
 まともな感覚を持っていれば、まず一時停止することになります。なぜ一時停止が必要になるのか、平坦路や見通しのきく直線道路であれば、ドライバーは様々な情報を事前に把握できます。それが不可能であれば、ドライバーは即座に起こりうる危険を想定しなければなりません。それが出来ない方は、運以外の方法では交通事故を避けて通れません。運を天に任せる、まさに運天ですね。

想定1)
横断または対向してくる歩行者(とくに自転車)の存在
想定2)
いきなり後続車に追突される可能性
想定3)
クルマが減速しないまま対向してくる場合
想定4)
停車したクルマのドアが突然開かれる危険性
想定5)
無神経であったり、状況把握のできない後続車が抜いてくる可能性
想定6)
見えない路地から他車や自転車が飛び出してくる危険性

 さっと思い浮かべただけでも6つの事態が想定できました。もっと多くの事態を想定する方もいるでしょう。いずれの場合にも問題となるのは、相手からもこちらが見えない点にあります。双方から安全確認できる状況であれば、片方が確認や判断を過っても交通事故を回避出来る事は多いのですが。
 では、こんな状況の中で交通事故を避けて通る方法を考えましょう。「一時停止のあとに安全確認して徐行しながら進む」までは教本にも載っているし、安全運転教室でも教える事ですから。
 私の場合には、すぐに窓を開けます。迷惑ドライバーを怒鳴りつける訳ではないですよ。一時停止して走り出す前に聞き耳をたてて周囲の音と空気を感じ取ります。面倒なのは確かですが、本当に危ない場所では様々な情報が察知できます。
 とどめにクラクション1発。周囲の方に不快感を与えることの多いクラクションですが、この1発が対向車や歩行者にいち早く注意を喚起できることは間違いありません。衝突する可能性のある双方が注意して進行すれば、必ず交通事故は避けて通れるのです。ただし想定2については回避行動が厳しいですね。それでも常に後続車両の有無を確認して運転する習慣があると、即座にホーンを鳴らすとか、追突される覚悟でブレーキペダルを強く踏みながら身構えておくなど、少しでも被害を小さくするための行動は取れるでしょう。


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